瞬間的シックスセンスの感想レビュー。あいみょんとはなんだったのか。
あいみょんの新作、瞬間的シックスセンスを聴いてがっかりしませんでしたか?
なんか今のあいみょんには、イマイチとかって言葉を軽々しく言ってはいけない雰囲気があるので、がっかりしたとか言いにくいですよね。
でも、あいみょんの瞬間的シックスセンスをイマイチだと思ったあなたは、当然っちゃ当然ですので、自分にセンスがないとかって思わないでも大丈夫ですよ。
この記事では、なぜあいみょんの新作瞬間的シックスセンスがイマイチだと感じるのか、その理由について書いてみたいと思います。
あいみょんとはなんだったのか。瞬間的シックスセンスを聴いてわかったこと
瞬間的シックスセンスは危うさが抜けたあいみょんの挑戦作
あいみょんの新作瞬間的シックスセンスは、大大ブレイク後初のフルアルバム。
4曲のシングルを含んだ12曲で49分というジャスト長さもあって、久々の成功が約束されたアルバムです。
発売と同時にサブスクリプション対応している影響で、売上的なインパクトは少ないかもしれません。
それでも、間違いなく多くの音楽好き、若者を中心とした現役のリスナーたちは聴くことになるでしょう。
発売前から成功は約束されています。ただそれでも嫌な予感は的中して、イマイチ。拍子抜けなところがありました。
前作まであった強烈な危うさがあまり感じられないからです。
2回聞きました。1日で2回。
サラリーマンやってるんで、自由な時間はない自分。
貴重な自由時間のほぼすべてを、あいみょんに捧げたということになります。
2回聞いて、サクッと2回聞ける事にあいみょんの凄みと音楽巧者ぶりをまざまざと見せつけてられた気分。
でもこのアルバムには、前作青春のエキサイトメントにあった「ちょっと大丈夫?そんなこと公然と歌ってて」なんて空気はかなり薄まってしまっています。
あいみょんが失った官能小説の香り
あいみょんの危うさというか怪しさについては再三にわたってこのブログで紹介してきました。
端的に言うと万年ヘルプのキャバ嬢であったり、官能小説の味わいなんですよね。
そんなダメな感じが、ダメでも決して媚びていないところが、沢山のロックファンを勇気づけてきました。
瞬間的シックスセンスには、キャバ嬢の匂いも、官能小説の行間も出てきません。
何よりも負け犬の闘志。これを感じることができませんでした。
みんなあいみょんに期待しすぎ
あいみょんって、超王道なんかにはなり得ないんですよね。
でも、みんなが担ぎ上げてしまった。で、やれるところでやってやるよっていうあいみょんのモード。
それで力が入った綺麗なアルバムになったのが瞬間的シックスセンス。
みんなあいみょんに期待しすぎ。
そこまでじゃないって。
あいみょんがトップシンガーに昇りつめてしまうくらいに、日本の音楽事情はあまりよくないということでしょう。
押し出されたトップスターというところでしょうか。
期待値を落とせば瞬間的シックスセンスはかなり良いアルバム
もしもあいみょんがここまでブレイクしていなかったとしたら。
それで瞬間的シックスセンスを聴いていたとしたらどうでしょうか。
多分、僕は大絶賛しているでしょう。
なんて有望なアーティストが出てきたんだど。
2019年最初の期待作として聴くと、少し物足りないところはあります。
それでも、瞬間的シックスセンスは良作であることは間違いありません。
瞬間的シックスセンスは3曲目で成功が約束された
あいみょんの瞬間的シックスセンスは、冒頭2曲にメジャーなシングル曲が配置されています。
特に2曲目のマリーゴールドは、あいみょんを今のポジションに押し上げることとなった最重要曲です。
ですから2曲目までは安心して聴くことができます。
勝負となるのが3曲目というわけですが、これが期待値を超える怪曲でした。
あいみょん特有の陰湿なセンチメンタルが垣間見える、冒頭2曲とはトーンが明らかに違う旋律です。
この3曲目で2018年のブレイクしたあいみょんが、少しだけ2017年からこんにちはをしているような感じです。
3曲目であいみょんの世界のチャイムを鳴らす感じです。
瞬間的シックスセンスの最終曲にあいみょんの意地をみた
ただ、悲しいかな途中でシングル曲あり、良曲はあるのですがやはり場末のキャバクラ感がない。
とても聴きやすいアルバムだと感じてしまいましたとさ。
ああ、やっぱり期待に応えようとしすぎて、あいみょんは肩に力が入っているなあと感じながら聴いた最終曲あいみょんの意地をみました。
どことなく投げやりに掻き鳴らされる、とっちらかった最終曲。
壮大なエンディングにすることをあいみょんは選びませんでした。
「わたし、そんなんじゃないから」って、「紅白は出たけど、そんなんじゃないから」ってそんな感じの歌でした。
なんだか次につながる、とっちらかった歌だけど、そんなエンディングで瞬間的シックスセンスは終わります。
瞬間的シックスセンスでおすすめの3曲
少し期待値を落として聴くと、永遠に聴いていられるくのがあいみょんお瞬間的にシックスセンスです。
個人的におススメの3曲を紹介します。
夢追いベンガル
圧倒的におススメというか。これ1曲ばかり最近はリピートしているっていうのが、アルバム後半に配置された夢追いベンガル。
軽妙な疾走感で、いわゆるダメな凡人のことを歌っています。
「君はロックなんか聴かない」に出てくる”僕”が主人公のような歌。
こじらせた若いロックファンは、こんな感じ。
「なんでアイツの方が」という人のこと気にしてばっかりなイジイジした僕。
でもそんな”僕”が「とりあえず走ってみりゃいいんじゃね?」って思えるようなアンセムです。
文句なしの良曲で、アルバム中で最も危ういあいみょんを感じることができます。
ら、の話
上述したように、アルバムの成功を約束した名曲です。
あいみょんぽい感じもするけれど、ありそうでなかったあいみょんのポップチューンというところでしょうか。
どこに出しても恥ずかしくないポップソングです。
二人だけの国
シンガーあいみょんの素晴らしさを感じることができます。
高音部で、少しだけ苦しそうにしながらも我を忘れない歌唱が、かなりセクシーです。
あいみょんとはなんだったのか
今、本当に日本の音楽シーンに、お茶の間に到達するレベルで真っ当に楽曲を作っている人を見るのが難しくなってしまいました。
日本のトップシンガーは未だにデビュー20年を過ぎた宇多田ヒカルだったりします。
みんな次が欲しい。「音楽を聴いてる」って感じることができるシンガーはいないのか?
なんとなくそんなポジションに押し出されて、そんなポジションでも立ち回る実力があったのがあいみょんでしょう。
本来、あいみょんは脇役で、怪しくて、官能小説よりなのです。
それでも、時代に与えられた役割をその実力で演じている人、それがあいみょんなのでしょう。
今回の新作瞬間的シックスセンスは快作だと思います。
期待せずに聞いてみましょう。そうすればイマイチなんて感想は出てこないと思うのです。